ゼロとルルーシュが双子ネタ。スザクとルルーシュはお互いが大切な存在だけどnot恋人。
ゼロとスザクはルルーシュloveですがルルーシュは二人をlikeの好き、な感じです。
Royal Amethyst Gray
「なぁ、ゼロ。いつかお前に聞きたいと思っていたんだが……」
ゼロを屋上に呼び出したルルーシュは開口一番、そう切り出した。
「どうした、ルルーシュ?」
何かあったのか?と問いかければ、ルルーシュはなぜか言いづらそうに口を閉ざしてしまう。
視線を彷徨わせるルルーシュを不思議に思いながら、ゼロは柵へと身を預けた。
隣で何か悩んでいる様子の弟に目を向け、その横顔をぼんやりと眺める。
きゅっと眉を寄せ、困ったように言い淀むルルーシュはとても可愛い。
さらさらとした黒絹の髪と大理石のようなきめ細かい肌。
長いまつげがはさりと動くたびに自分とは違う、澄んだ紫水晶が隠れてしまうのがもったいない。
一卵性なのだから自分と同じ顔のはずなのに、こんなにも可愛く綺麗に、
そして愛しく思えてしまうのはなぜなのだろう。
ゼロは弟と唯一違う紅玉を細め、くすりと微笑んだ。
その微笑みに催促されていると錯覚したのか。
ルルーシュは何かを決意したかのようにぐっと手を握り締めると勢いよくゼロへと向き直った。
「ゼロ!」
「ん?」
「俺を気遣う必要はないから、正直に答えてくれ。」
「あ、あぁ。」
ルルーシュの真剣な面持ちに、ゼロは知らず知らずのうちにごくりと唾をのむ。
(――― 一体どうしたというのだろう。)
ゼロの頭の中には想定しうる全ての問いが浮かんでいたが
ルルーシュの口から出たのはそのどれとも違う、まさに想定外の言葉だった。
「お前、実はスザクのことが好きなんだろう?」
「………………は?」
たっぷり間をおき、ゼロはぽかんと口を開けた。
ルルーシュの言葉は脳に届いているはずなのにその言葉の意味が理解できない。
いつもならフル回転で答えをはじき出す頭の中はいまや真っ白だった。
呆然としているゼロに何を見出したのか、ルルーシュは寂しげな笑みを浮かべ
一人話を進めていく。
「別に隠さなくてもいいんだ。俺には分かっているから。」
「え、ルルーシュ…」
「ゼロは優しいから…だから自分の気持ちを隠していたんだよな。
俺のことを思って…」
「いやいや、だから何の話だ!?」
「何のって…だからゼロがスザクを好きだって話…」
「何をどうしたらそうなるっっっ!!」
(違う!間違っているぞルルーシュ!!)
ゼロは鳥肌を立てながら心の中で叫んだ。
確かにスザクに対して特別な感情を持っていることは認めよう。
だがそれは間違っても好意なんてものではない。180°正反対だ。
自分にとってのスザクはあくまでもルルーシュを狙う害虫でしかない。
スザクにとっても自分の存在は邪魔らしく、会えばいつでもルルーシュを巡って
バトルを繰り広げる日々だ。
そんな殺伐とした関係のどこをどう誤解したら先程のようなおぞましい結論へと
辿り着くのだろうか。
(とりあえず現状を整理しておくべきだな…)
ずきずきと痛むこめかみを押さえながらゼロは現状把握に努めようと試みた。
「なぁ、ルルーシュ…一体お前はどこからそんな考えを出したんだ?」
「昨日…久しぶりにスザクとお前の両方が登校しただろ。
三人そろうなんて久しぶりだったから俺は嬉しかったんだ。でも、お前たちは
朝からずっと二人っきりでこそこそと何かしてるし、
挙句の果てには俺が声をかけても、二人で話に夢中になってて追い払われるし…」
拗ねたように言葉を紡ぐルルーシュを思わず抱きしめたくなり、慌てて理性を呼び覚ます。
「す、すまない…。スザクとはお互い譲れないものがあって…それで昨日はずっと」
「あぁ。分かっている。もうお前たちは両想いなんだろう?」
「争ってて…って、はぁ!?ちょ、ちょっと待てルルーシュ!」
勝手に話が進んだ挙句、一人納得しているルルーシュに頭を抱えたくなる。
昨日は久しぶりに会ったスザクと大喧嘩した記憶はあっても仲良くしていた記憶は一切ない。
あの嫌味と殺気の応酬のどこをどう見たら両想いに見えるというのだろうか。
しかも争っていた内容はいつものことながら、ルルーシュはどちらのものかについてに他ならない。
確かに内容を聞いてなくては分からないかもしれないが、それでも弟の鈍さは
致命的なレベルまで達していると断言したくなった。
「……ルルーシュ、頼むから私の話を聞いてくれないか?」
「いいが…なんか疲れてないか、ゼロ?」
「あぁ……。なんだか無性に自分とスザクに同情したくなったんだ。」
がっくりと項垂れるゼロに、ルルーシュは小首をかしげキョトンとした表情を返す。
その表情を見て、あぁ本当に自分とスザクの思いは伝わっていなかったんだなと再確認し、
そのまま座り込みたくなった。
自分もスザクも結構分かりやすくアピールしているとは思うのだが。
なんだかな…と少し遠い目をしながらゼロはルルーシュへと向き直った。
「ルルーシュ、お前はとてつもない誤解をしている。
まず第一に俺はスザクに好意など一切持っていない。スザクもしかりだ。」
「そう…なのか?あんなに仲がいいのに。」
「次に二点目だ。お前の仲がいいという基準は大いに間違っている。
お前の言うところの“楽しそうなお喋り”は全て錯覚だ。周りの反応を見てみろ。
私達には一切近付くことなく、怯えたような視線で見ていただろ?」
「それは楽しそうだったからじゃないのか?」
「いや、楽しそうなら引かないだろう。多分私達があまりにも激しく殺気を振りまいていたから
怯えていたのだろうな。」
「でも喧嘩をするほど仲がいいっていう言葉があるってこの前会長が…」
「それはお前が騙されているだけだ。喧嘩するほど仲がいいということはこの世の中ありえない。
あったとしても私達だけは例外だ。」
「それじゃあ両想いっていうのは…」
「お前の多大なる誤解だ。私とスザクの関係は憎むべきライバル…よくいって
恋敵、といったところか」
鬼気迫る表情で、ルルーシュの質問に答えてくゼロの気迫に飲まれ、
ルルーシュは必死にこくこくと首を縦に頷かせた。
まだ一部よくわからないところがあるが、とりあえず自分の認識は誤解だったらしい。
「ゼロとスザクの間に何もないことはわかったが…それならば何で二人は争っていたんだ?」
「あぁ…お前のことで、だよ。」
「俺?何で俺のことで喧嘩をするんだ?」
俺、スザクに何かしたかな…?とまた微妙にずれた方向に行き始めたルルーシュに
これは直球しかないのか、とため息をついた。
今の会話である程度察してくれたんじゃないかと期待した自分が馬鹿だった。
(どうして私があいつの気持ちを代弁してやらなくてはいけないんだっ!)
ルルーシュの疑問に答えようとすると必然的に言わなくてはならなくなることに
色々文句を垂れたくなるが、この際仕方がない。
ゼロは深くため息をつくと、苦々しい口調で言葉を紡いだ。
「スザクが、お前のことを好きだからだよ。」
「俺もスザクのことが好きだが?」
「違う。likeの好きじゃない。loveの方の好きなんだ。」
「……は?」
何分か前の自分と同じように、ぽかんと口を開けるルルーシュにゼロはそっと苦笑した。
「やっぱり気が付いてなかったんだな。」
「え、好きって…え?」
イレギュラーに弱いルルーシュは混乱しているのか、目を白黒させている。
「本当はこんなつもりじゃなかったんだがな。」
(そもそもなぜ私が恋敵であるあいつの想いをルルーシュに伝える羽目になっているんだ?)
心の中でそう苦々しげに呟くゼロとしては、思いもよらないこの事態が大変気に食わない。
これでルルーシュとスザクがくっついてしまったら…と思うと気が気でない。
いっそのこと今の発言を冗談だということにしてやろうかと思い始めた時、
隣のルルーシュが訝しげな顔を向けてきた。
さっきまでうんうん唸っていたのだが何かあったのだろうか。
「ルルーシュ?」
「スザクの方の理由は分かった。でもゼロ、お前の方がよくわからない。」
「…?」
「ずっと一緒だった弟がスザクにとられるのが嫌だったのか?でもそれだったら
恋敵という表記は間違っているんじゃないかと思うんだが……」
今日は何の厄日だろうか。
ゼロは思わず遠い目をしながら思う。
スザクのみならず、まさか自分の気持ちまで伝える羽目になるとは。
まぁこれはある意味好機と言えなくともないが、それでも心中は色々と複雑なものであった。
何といっても相手は、あそこまでっ大胆にアピールしているのに全然気づかないどころか
かすりもしない鉄壁の鈍感っぷりを誇るルルーシュである。
このままでは双子ということが邪魔して、普通の告白では伝わらないかもしれない。
―――ゼロは自らの腹をくくる覚悟を決めた。
「ルルーシュ……」
「何だ?」
「お前が知りたい、と言ったんだからな。」
「え……」
ゼロは優しくルルーシュの頬に指を滑らせそっと唇を重ねる。
いつも寝る前にするような、優しくて安心させるような口付け。
ルルーシュは突然の口付けに驚くも、黙ってその口付けを受けていた
口付け自体は長いものではなく、軽いリップ音を立てて唇は離れる。
しかしいつもならすぐ離れるであろう彼の顔はいまだに吐息がかかるほどそばにあった。
「ゼロ?」
目の前にある、自分と瓜二つの顔にどうしたのかと問いかける。
ゼロは無言のままルビーの瞳を妖しく細めた。
妖艶な笑みを浮かべるゼロに魅入られていると、突然腰を引かれ再び唇が重なる。
「ん…あ、んぅ…ふあっ!?」
先ほどと同じ口付けを想定したルルーシュは、歯列を割って無理やり入り込んできたものに
大きく目を見開いた。
中に入ってきた柔らかなものはルルーシュが固まっているのをいいことに
我が物顔で口腔内を蹂躙する。
上顎を撫で擦られピクリと震えた体に、ルルーシュは抵抗することを思い出した。
「や、んんっ、は…んぁ…」
何とかして引きはがそうともがくも後頭部を押さえられているため頭を動かすことすら叶わない。
角度を変えて深く口づけられれば口から洩れるのは甘い声ばかりとなる。
気がつけば、ルルーシュの体からは力が抜け、ゼロの制服にしがみつくだけで精一杯という状態になっていた。
ゼロが濡れた水音を立てて舌を引き抜く。
つ……と伸びた銀糸が二人の間をつないだ。
そっと手を離せば力の抜けたルルーシュはその場にくたりと座り込んだ。
肩を激しく上下させ、荒い息をつくルルーシュにゼロは苦笑をこぼす。
少しやりすぎたか、と思いながらルルーシュの目線に合わせるようにしゃがみこんだ。
「…大丈夫か、ルルーシュ?」
「はぁ…は、何でこんな…」
涙をたたえた瞳は宝石のように光り輝いていた。
肩を上下させるルルーシュの背に手をやりながらゼロは静かに呟く。
「…スザクと同じ理由なんだ。」
「え……」
パシリと光を弾くアメジストをまっすぐ見つめ、ルビーは真摯な色を告げた。
「お前のことが好きだからだよ、ルルーシュ。」
大きく目を見開く様に、ゼロは自嘲気味に目を伏せる。
「突然で驚いただろう。兄が弟にこんな思いを抱いていると知って幻滅したか?
……これがイケない感情だということは分かっている。
それでも、私は一人の人間としてお前を愛してしまった。
お前に、双子の片割れとしてだけでなく、恋人としても見てほしいと、
そう望んでしまったんだ。」
「ゼロ……」
「だからと言ってお前に強制するつもりはない。
苦しむお前を見たいわけでないからな。
ただ私の気持ちを知っておいてほしかっただけだ。
…押しつけてしまってすまない、ルルーシュ」
「ゼロ、俺は…」
一方的な言葉にルルーシュは戸惑ったように瞳を揺らす。
何かを言いたいのに思考が追い付いていないのだろう。
そんなルルーシュに優しく微笑みかけ、ゼロはなだめるように軽く口づけた。
「焦らなくていい、と言っただろう。まぁ私は欲張りだからな。
少しでも意識してくれたらうれしいよ。」
そう簡単に譲る気などないさ、とおどけたように片目を瞑ってみせるゼロに
ようやくルルーシュも余裕が出てきたらしい。
困ったように小さくため息をついて、降参とでも言うように両手を挙げてみせた。
「これが、スザクと争っていた理由、というわけか。
さすがの俺も気づかなかったよ。」
「ルルーシュが鈍すぎるんだ。」
「違うな。お前たちの隠し方がうまかったんだ。」
だから俺は鈍くなんてない、と唇を尖らせる弟が可愛くて、ゼロはまた口づけた。
「ん、ゼロ…」
「ルルーシュ、覚悟を決めておいた方がいいぞ?」
短いじゃれあいの後、おもむろにゼロがそう切り出した。
「…何の話だ?」
「私達の気持ちを知ったのだから、何の遠慮もいらなくなったということさ。」
「つまり……?」
嫌な予感がするのか、恐る恐る尋ねるルルーシュに、ゼロはとびきりの笑みで答えた。
「これからは私達の愛情全てが直接お前に向かう、ということだ。
……私たちの愛は重いからな。しっかり受け止めてくれよ、愛しいルルーシュ。」
「………努力する。」
げんなりと肩を落とす様子がゼロのつぼを刺激したらしく。
光が満ちる屋上に、弾けるような笑い声が響きだした。
―――後日、事の次第を知ったスザクとゼロの猛烈アタックに二次被害を食らう生徒が続出したとか。
とうとうやってしまいました!ゼロ・ルル双子ものでゼロ→ルル←スザ(笑)
もともと双子には弱かったのですがまさかゼロルルに行くとは…っwww
ゼロルルは多分2番目か3番目に好きです^^
この3人だと3P方向に行きそうですよね…(ぼそり)
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