ルルーシュが皇子でルルーシュ≠ゼロな皇族パラレル。
   スザクはユフィの騎士(ルルーシュが騎士を拒否したため)ですが
   ユフィもスザクもルルーシュの騎士はスザク希望(笑)

   スザク不在時に襲われてユフィとルルーシュが人質になり、
   単身奪還しに来たスザク…というシチュエーションです。


   前から温めてきたネタなのですがニュータイプにスザク+ユフィ+ルルーシュ+ゼロ様
   というビンゴすぎるピンナップが載ったのに後押しされました♪




   ――Eternal Chronicle――

   「ようやく来たようだな。待ちくたびれたよ、枢木 スザク。」    指定された場所は山深くの暗い洞窟。    僅かな光を頼りに奥の広間のような所へと辿り着けば、いつもの芝居がかった    声音と共に眩い光が辺りを包み込んだ。    光の強さに一瞬目が眩んだが、それよりも目の前に広がる光景に    スザクは頭を強く殴られたような衝撃を感じた。    「ユーフェミア様、ルルーシュ殿下っ!」    目の前で磔のような姿勢で拘束されている2人に、思わず駆け出したくなる体を    グッと押さえ込む。    両者の頭に突きつけられている銃さえ無ければ今すぐ飛んで行って助けるのに。    スザクはギリッと歯を食いしばり、中央に佇むゼロを睨みつけた。    「ゼロ…っ、ユーフェミア様とルルーシュ殿下を解放しろ!」    ゼロはスザクの叫びにくつり…と笑い声を返す。    まるでそういうのを待っていたと言うかのように。    「そうだな…じゃあここまで来れた褒美としてどちらか1人を解放してやろう。」    「何…っ?!」    突然の振りにスザクは身構える。    そのスザクをゆったりと見やり、仮面の男は勿体ぶった様子で腕を広げた。    これは舞台上の遊戯なのだといった様子で。    「さぁ白の騎士 枢木 スザク、お前はどちらを選ぶ?     桃色の姫君ユーフェミア・リ・ブリタニアか、     それとも黒の皇子ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアか?」    どちらか1人のみ助けられるとしたら、お前はどちらを選ぶのかな。    洞窟内にゼロの笑い声が木霊する。    究極の選択にスザクの顔が苦しげに歪んだ。    「…っ僕が代わりに人質になる!だから2人を解放しろっ!」    我が身と引き換えに、と懇願するも、つまらないとばかりに一蹴される。    「……それでは意味がないのだよ、枢木 スザク。     さぁ早く選ばないとどちらも失うことになるぞ?」    「……っ?!」    苦悩するスザクに満足げな様子を見せつつ、尚も追いつめていく。    制限時間を設けてやろうか、と嘲笑され、スザクの頭は半ばパニック状態に陥った。    (どうすればいい…っ!僕はどうすれば…っ!このままじゃ2人共失うことに…っ!)    震える腕に爪をたてる様を見ていられなくなったのは捕らえられている2人の方で。    敬愛する主か、愛する想い人か。    ―――優しいスザクに決められる筈がない。    「スザク……。」    心配げなユーフェミアの声音にルルーシュは心を決めた。    「この馬鹿が…っ!おい、枢木 スザク!」    「殿、下…?」    ルルーシュの声にスザクはノロノロと顔をあげる。    戸惑うスザクを前にルルーシュは大きく息を吸い込み、凛とした瞳を向けた。    「お前はユフィの騎士だろう?ならユフィを命をかけて守るのがお前の役目だ!     何を悩む必要がある!」    騎士として当たり前のことをなせ、と強く告げる彼にスザクは必死で首を振る。    「駄目ですっ!それでは殿下が…っ!」    「ふん、俺を見くびるな。俺はそう簡単にやられるほど弱くはない。     それに奴らの狙いは多分この俺だ。すぐに殺されたりはしないさ。」    「でも…っ!」    不敵な笑みを浮かべ、ルルーシュは自分の中の推論をもとに説得を試みる。    しかしルルーシュを犠牲にすることに等しい案にスザクが頷けるはずがなく。    ルルーシュの案に納得がいかない、と食い下がるスザクを制し、ルルーシュは目を細めた。    「それに…お前が助けに来てくれるんだろ?だから大丈夫だ。……ユフィを頼む。」    ふわりと微笑み、待ってるから…と囁く。    儚いほど美しい笑みに、状況も忘れスザクは見とれてしまった。    しばらく見つめ合った先で、スザクはそっと目を瞑る。    大きく深呼吸し、ゆっくりと目を開いたスザクに、先ほどのような迷いは無かった。    「……分かりました。殿下の言うとおりにします。でも、待っていてください。     必ず貴方をを助けに来ますから。」    「あぁ。お前もぬかるなよ?」    自分の前で交わされる会話を見守るしかなかったユーフェミアは、    結論付いた内容にたまらず叫び声をあげた。    そんなこと…ルルーシュの代わりに自分が助かるなんてこと、許せるはずがない。    「そんな…スザクっ、ルルーシュ!」    「さぁ、ユフィ…スザクと共に…」    「嫌…私は嫌よっ!あなたを置いて逃げるだなんて……     そんなこと出来るはずがないわっ!」    「だがこのままでは全員無駄死になってしまうかもしれないんだ。     そうしたら姉上がどれほど悲しむか、分かるだろう?」    「それはルルーシュだって変わらないわっ!あなたにもしものことがあったら、     私…ナナリーに何て言えばいいか…っ」    瞳に涙を浮かべ嫌々と首を振るユーフェミアあに、ルルーシュは宥めるように微笑む。    「ユフィ、俺は大丈夫だから。君やナナリーを置いて死んだりするはずがないだろう?」    「でも……っ」    「それよりもユフィ…君に頼みたいことがあるんだ。     君にしか出来ない…大事な頼み事だ。」    「……何…?」    自分がどんなに足掻いてもルルーシュの決意を変えることは出来ないのだと。    そう悟ったのか、ユーフェミアは大きな瞳に涙を湛え、静かに問い返す。    「コーネリア姉上に現状を出来るだけ早く伝えてほしいというのが一つ。     それと…ナナリーのそばにいてやってくれないか。」    「あ……」    途端に悲壮な顔をするユーフェミアにルルーシュは苦笑する。    「そんな顔をしないでくれ、ユフィ。     別に死ぬ覚悟を決めたというわけでは全然ないのだから。     ただナナリーは心配性な所があるから、ユフィにそばにいてもらいたいんだ。     ……君の言葉が一番安心できると思うから。」    流石の俺でもコーネリア姉上を安心させられる自信はないしな、と小さく笑う。    自分だけが先に助かってしまうことを苦しく思わないように。    自分がスザクと共に行くのはルルーシュでは出来ないことをする為なのだと。    どこまでも優しいルルーシュに、堪えきれなくなった涙がポロリと零れた。    「ごめんなさい、ごめんなさいっ、ルルーシュ。     あなたの足手まといにはなりたくなかったのにいつも私…っ!」    「ユフィは何も悪くないよ。     悪いのはユフィまで危険に巻き込んでしまったこの俺だ。     だから今はスザクと一緒に逃げるんだ。」    「ルルーシュっ、必ず、必ず助けにきます!お姉さまにちゃんと伝えます!     だから死なないで…っ!」    「あぁ…約束する。     スザクがいるから大丈夫だとは思うが、君が無事に戻れるよう祈っている…。」    「あなたこそ…どうか無事で…っ!」    「ありがとう。…ゼロ、話し合いは付いた。さっさとユフィを解放しろ!」    ルルーシュの目が、離れた所で傍観していたゼロを睨みつける。    彼は口を挟むことなく、面白そうにやり取りを眺めていたが    ルルーシュの視線を受け、くつくつと笑い声をあげた。    「なかなかに面白い見ものだったよ。     ではユーフェミア・リ・ブリタニア、君を解放しよう。」    「…きゃっ!」    「ユーフェミア様!」    ゼロが指を鳴らすと共に拘束が解け、後ろから突き飛ばされる。    慌てて駆け寄ったスザクがよろめくユーフェミアをしっかりと抱き止め、    ユーフェミアに怪我の有無を尋ねた。    その様子を安心したような、どこか切ないような笑みで    ルルーシュは見つめていたが、ゼロの視線を感じ、慌てて唇を引き結ぶ。    ゼロを気にしないように努め、ルルーシュはスザクへ改めて視線を向けた。    「スザク、ユフィを頼む。」    「分かりました。。必ずコーネリア様のもとへと送り届けます。     だから待っていて下さい。必ず助けに戻ってきますから!」    「あぁ、待ってる。」    強い決意を表す翡翠の瞳にルルーシュは優しく力強い笑みを返す。    早く行け、という言葉に促され、2人は後ろ髪をひかれる想いを感じながら    洞窟の外へと走り去った。    (条件はクリア……)    2人の姿が見えなったのを確認し、ルルーシュは大きく息を吐く。    そんな彼の想いが聞こえたのか、ゼロは仮面の中でくつり…と笑った。    近くにいた部下に2、3の指示を与え人払いを促す。    数瞬と過たず広い空間に2人きりとなり、警戒を露わにするルルーシュに    ゼロはゆっくりと近付き、徐に口を開いた。    「ふっ…さすがは天才と名高い黒の皇子。上手く2人を逃がしたな。」    ゼロの言葉に、ルルーシュは自分の推理があっていたことを悟る。    「やはり、そうか。お前の本当の狙いは俺だろう。     2人は俺に対する人質といったところか。」    「ご名答。こんな状況でよくそこまで頭が回るものだ。」    「…っあの2人には指1本触れるな!」    感心したように手を叩かれ、ルルーシュの頭に血が上る。    思いのまま怒鳴れば、ゼロはまた笑い声を上げた。    「くくっ、お前が大人しくしててくれれば何もしないと約束しよう。     私が欲しいのは麗しき黒の皇子、ただ1人なのだから。」    いつの間にかすぐそばまで近寄っていたゼロにスルリと頬を撫でられ、    体が小さく震える。    どこまでも自分に執着する様に、ルルーシュの眉が訝しげに寄せられた。    「お前の目的はなんだ?金か?地位か?それとも名誉か?     なぜこんなことをする?」    自分を捕らえることに何の利点も見いだせない、とルルーシュはゼロを見上げる。    視線を受けた彼はその質問に答える素振りを一瞬見せるも、    時間だ、とのみ返した。    「残念ながらその質問への解答は後日とさせてもらおう。     今はあの騎士が戻ってくる前に撤収しないといけないからな。」    「どこに行くつもり…っ」    「すぐに分かる。では、少し眠ってていただこうか?」    「な、う…ぐ…っ?!」    どこからか出された白い布に口元を覆われ、激しい眩暈に襲われる。    抵抗しようにも拘束されている体ではろくな抵抗など出来る筈もなく。    ―――心の奥深くで、何かがカチリと嵌る音を聞いたのを最後に、    ルルーシュの意識は暗い闇へと堕ちていった。    「寝た……か。」    口元に指をやり、完全に意識を失っていることを確かめる。    毒に耐性があるであろうルルーシュのために、かなり強い薬を使ったから    そう簡単に起きることはないだろう。    そっと息を吐き、力が抜けぐったりとしているルルーシュの体を    拘束具から外すと自らの腕で抱きとめた。    腕の中にいる存在にゼロの心は何とも言えない高揚感と充実感で満たされていく。    (―――漸くこの手へと戻ってきた……自分の大切な大切な、片割れ)    ゼロは心中で呟きながら、徐に手を伸ばし仮面に手をかけた。    静かな音を立てて外される仮面の影でゼロの口端が吊り上がる。    「私が欲しいのはルルーシュ、お前だけだ。私はお前でお前は私なのだから。」    意識を失っているルルーシュの唇に自分のそれをよせ、優しくそう囁いた。    まるで愛しくて愛しくて仕方ないというように。    答えを返さない人形のような体を優しく抱き上げ、ゼロは満足げに目を細める。    その先にあったのはルルーシュに生き写しとしか言いようがない白斥の美貌。    ただ一つ、ルルーシュとは違う禍々しい紅い瞳だけが闇の中に浮かんでいた。  
   地味にブームが続いているゼロルルを入れながらの初の騎士皇子。    騎士皇子も好きなのですが騎士皇帝の最強下剋上にいつも負けてます^^    普段が俺ルールのドエス様ばかりだったので、この敬語キャラに激しく    違和感を覚えていたとか内緒です^^←    プラウザバックでお戻りください。