スザクの性格はR2初期仕様(黒スザク風味?)ですが、ルルーシュの記憶が戻っていることは自他共に知っています。
   ナナリーは本業総督、たまに息抜きで学生みたいな立場です。

   「ルルーシュ、ドライブ。」    「は?」    どこか眠たげな赤い瞳で、そうねだってくる彼女にルルーシュはパチクリと目を瞬かせる。    「アーニャ、生憎だが俺は免許を持っていなくて…」    「違う。私が運転。あなたは助手席。」    「へ?」    本日二度目のビックリだった。

   Run☆Run☆Rendezvous 1

   「突然どうしたんだい?」    ルルーシュの隣で書類を片付けていたスザクが、何かあったのかと問いかける。    するとアーニャは手元の携帯をいじり、二人の方へ画面を向けてきた。    「私、昨日知った。ナイトメアの運転免許証があれば車も運転できる」    どこか誇らしげなアーニャにルルーシュは思わず突っ込んだ。    「ナイトメア運転免許証なんてあったのかっ?!」    「え、そこ?」    隣からの微妙な突っ込みに気付くことなくルルーシュは頭を抱える。    (これでは黒の騎士団は無免許運転者だらけになるではないかっ!    いや、今更な問題ではあるが正義の味方としてはイメージダウンになりかねない。    実にゆゆしき問題だ……)    スザクの訝しげな視線に気付かないルルーシュは仕舞にはぶつぶつと呟きだす。    「ルルーシュ…まさか、君…」    その様に何か気に食わないことでも見いだしたのか、スザクが低い声音で    ルルーシュの名を呼ぶ。    そのまま言葉を続けるかと思われたが、何かに思い至ったらしいルルーシュが    アーニャに話しかけた為、それは叶わなかった。      「しかしアーニャ、年齢は平気なのか?     どんなに早くても16歳以下は無理なんじゃ…」    「大丈夫。私、ナイトオブラウンズ。普通の大人より運転上手。」    「た、確かに…」    思わず頷いてしまった。反論の余地がない。ブリタニアに対しては山ほど出来たが。    「私、この前テレビで見た。ドライブ、すごい楽しそうだった。だから行きたい。」    「しかし……」    「駄目……?」    意識しているのか分からないが上目使いでねだられてはルルーシュとしても断れない。    ナナリーと同じ年齢の少女なら尚更。    はぁ…と一つ溜め息をつき、ルルーシュは白旗をあげた。    「分かったよ、アーニャ。」    事故だけは起こさないでくれよな、と告げるとアーニャは目を輝かせた。    「ルルーシュ…好き」    「ちょ、ちょっとルルーシュ!」    上手くまとまったその話に慌てたのは何故かスザクだった。    「アーニャまで落とすだなんて…何を考えているんだ君は!」    「人聞きの悪いことを言うな!俺はただアーニャの頼みを聞いただけで…」    「それはアーニャがナナリーくらいの年齢だったからだろ!」    「う……」    「いい加減に妹離れをするべきだよ、このロリコン!」    「なっ?!どっかの天子馬鹿みたいな属称で呼ぶんじゃない!     そもそもお前みたいな、女とみれば手当たり次第に落とす輩と一緒にするな、     この天然たらしが!」    「それは君のことだろ!この前だって…」    「煩い。ストップ。」    だんだんデッドヒートしていく二人の応酬を容赦ない一言でバッサリと切り捨て、    アーニャはスザクの方を向いて首を傾げた。    「スザクはどうしたいの?」    「僕は……」    先ほどまでの威勢はどうしたのか、スザクは答えに窮するように視線をさまよわせる。    何故か言いづらそうにしている様に二人で首を傾げていると、    やたらと明るい声が割り込んできた。    「スザクはアーニャとルルーシュ先輩を2人っきりにさせたくないんだよな〜」    「ジノ!」    突然現れた金色の物体にのしかかられてスザクがぐしゃりと潰れる。    ルルーシュのことで頭がいっぱいで気付かなかった模様だ。    「いつから聞いてたんだ?」    「え〜っと最初から?」    悪びれない表情でにかっと白い歯を見せるジノにルルーシュは    何故か満足げに肩を叩いた。    「それならばちょうどいい。お前がアーニャとドライブしてきてやってくれないか?」    「えー先輩が頼まれたんじゃないですか?俺は別に構いませんが…」    「構わないならいいだろ。そこでいじけてるスザクもこれなら文句はないだろう?」    とりあえず変なもめ事を引き起こす前に、とさっさと話をまとめ始める。    ジノがまだ何やらぶつくさ言っているがこの際無視してかまわないだろう。    スザクは先程から無言だが、ジノに頼んだときにピクリと動いたことから    満更でもない、といったところか。    (―――条件はクリア)    これで問題は無くなった。    そう、ルルーシュが自分の勝利を確信した瞬間、スザク同様    ずっと黙っていたアーニャがポツリと言葉をもらした。    「私は嫌。」    「…え?」    聞き返すルルーシュが気に食わなかったのか、アーニャは何かを訴えるかのように    きゅっと袖口に腕をかける。    「私…ルルーシュを誘った。ジノじゃない。」    「アーニャ…何故俺なんだ?」    アーニャの仕草に苦笑するルルーシュは困ったように眉を下げる。    確かにそうだ、とジノも身を乗り出してアーニャの顔を覗き込んだ。    「なぁなぁ、スザクでも駄目なのか?」    「スザクも駄目、ジノも駄目。ルルーシュがいい。」    「なんで?」    抑揚の無い声で淡々と告げるアーニャにジノは首を傾げる。    同じく首を傾げていたルルーシュは続く言葉に爆弾が仕込まれているとは    想像すらしなかった。    「ドライブはデート。好きな人とするもの。だからルルーシュじゃなきゃ駄目。」    抑揚の無い声音であったがその内容は一瞬で辺りを凍らせる程の威力を内包していた。    下からおどろおどろしい空気が流れ出すのを感じ、    ジノは顔をひきつらせながら距離を取る。    当事者のルルーシュはアーニャの発言の意味を掴みかねたらしく、    いまだ首を傾げていた。      「アーニャはスザクとジノが嫌いなのか?」    「違う。嫌いなわけじゃない。ルルーシュは私が好き?」    「好きだが…それとこれにどういう関係が……」    「それならば両想い。私達は今日から恋人同士。」    その言葉に世界は激しいブリザードによって再び凍りついた。    ようやく正しく意味を理解したルルーシュは恐る恐る目を向ける。    この氷点下の世界を作り上げる張本人へと。    顔を引きつらせながら、ジノとルルーシュはそっと目を交わす。    よく分からないアイコンタクトをした後、ジノはアーニャの前に屈み込んだ。    「えーっと、アーニャはルルーシュ先輩が気に入ってるんだよな?」    「そう。」    「別に今のは告白ってわけじゃないよな?」    「そう。違う。」    コクリと頷くアーニャにジノとルルーシュはホッと胸をなで下ろす。    どうやら杞憂に過ぎなかったらしい。       「告白じゃない。プロポーズ。」    ―――なおのことタチが悪かった。    示し合わせたかのように同時に床へと沈みこむ2人は    アーニャの恐ろしさを改めて思い知らされた。      とりあえずアーニャはジノに任せるとして、環境改善の為に    ルルーシュはスザクの説得を試み始めた。    「おいスザク、いい加減にそのブリザードを何とかしろ!」    「…ルルーシュの浮気者。尻軽天然ロリコンたらし。」    耐えろ…耐えるんだ俺。やれる…やれるぞ、俺になら!    額に青筋を浮かべながらも理性を総動員させて、殴りたくなる衝動を    必死に抑え込む。    机の向こう側でジノが拍手するのが見えた。    大きく深呼吸してから、ルルーシュはジト目で見上げているスザクへと    微笑みかけた。    「スザク、お前が不機嫌になる理由もわからなくない。     だがお前は多大な誤解をしているんだ。分かるか?」    「やっぱりルルーシュはルルーシュだったんだ。     前も僕に嘘を付いていたようにまた今回も僕を騙していたんだ。」    「頼むから話を聞いてくれないか?俺の忍耐が臨界点を突破する前に。」    口端がひくひくと引きつるのを感じる。自分の理性を褒めたくなった。    ……それこそ全力で。    「ルルーシュの浮気者……」    「アーニャの言ってることを真に受けるんじゃない。     お前だって小さい頃神楽耶に似たような事を言っていただろう?     それと同じようなものだ。」    これ以上は話が進まないと悟ったルルーシュは、スザクの言葉を無視して    無理やり話を進める。    ルルーシュの予測は外れることなく、言われた内容にスザクは    少し思案気な顔になって呟いた。    「……確かに「将来結婚しよう」みたいなことは言ってたけど…。」    スザクの瞳が小さく揺らいだのを見逃すことなく、ルルーシュは    畳み掛ける様に言葉を紡ぐ。    ここがルルーシュにとっての正念場だった。    「ほら見ろ。     これは誰だって一度は言う、いっそ社交辞令と言ってもいいようなことなんだ。     おままごとの一環だと捉えてもいいな。」    「おままごと……」    「あぁ。だからさっきのアーニャの自称「プロポーズ」も気にしなくていい。     おままごとの一環なのだから。」    つまり俺とアーニャは両想いではないと言うことだ。    と、極めつけに極上の笑みで述べてやれば、スザクも僅かながら笑みを取り戻した。    「そうか…そうだよね」    先程のおどろおどろしさはどこに言ったのかと言いたくなる位、    スザクは気恥ずかしそうに笑った。    早とちりしちゃった、と眉を下げながら微笑む姿は子犬を彷彿とさせる程可愛い。    わしわしと頭を撫でたくなって伸ばした手は何故かアーニャの後ろ姿に阻まれた。    「……アーニャ?」    「スザク、安心して。」    「……何を?」    仁王立ちのその姿にルルーシュは嫌な予感を感じる。冷汗が背中を伝い降りた。    自分の予感に従い、慌ててアーニャの口を塞ごうとするが、    それより一瞬早く、アーニャはスザクの目の前へと歩を進める。    訝しげなスザクの手をギュッと握りしめ、アーニャは赤い瞳を煌めかせた。    「ルルーシュは私が幸せにする。」     「アーニャ!もう何も喋るな!」    故意なのか無意識なのか。    またしても絶妙のタイミングで爆弾を投下する、爆弾魔アーニャ。    ピシリと凍りついたスザクに、このままだと収拾がつかないと判断したルルーシュは    今度こそアーニャの口を塞いだ。    「ジノっ!アーニャをどこかに連れて行ってくれ」    「イエス、ユアマジェスティ!」    むーむー唸るアーニャをジノに引き渡そうとするがバタバタ暴れるため、    なかなかうまくいかない。    それでもジノがアーニャを担ぎ上げてしまえば抵抗のしようはなかった。    ……しようはないはずだった。    「よし、そのまま…」    「ジノ…バラす」    そのまま連れ出そうとした時に聞こえてきたのは不穏気な声音。    嫌な予感にアーニャへと顔を向ければ、アーニャは携帯を片手に薄く笑っていた。    「ジノの色々な写真、全部ブログから流す。全世界に放映する。」    「え、ちょ、アーニャ?!」    「この前の全裸のやつも、こっそり隠し持ってる写真も、ベッドの下にある箱の中身も、     ジノの秘密は全部公開……」    「な、待てって!それは……っ」    「離さないなら流す。ボタン一つであなたは全世界のさらし者。3…2…」    「うわぁっ!分かりました止めて下さい」    あまりにも呆気なくジノは白旗をあげた。呆気なさすぎる敗北だった。    下ろされたアーニャはわざとらしくスカートの皺をのばしている。    「何をやってるんだ、ジノ!」    「だって、色々弱みを握られてて…」    「お前一人の犠牲で世界が救われるんだ。有り難く思え。」    「見捨てないでくださいよ、ルルーシュ先輩!」    「どっちにしても流される運命なんだから少しは役に立て。」    「俺を犠牲にして…って、え?どっちにしても流される…?」    ルルーシュとの掛け合いに何か引っかかるものを感じたジノは眉を顰める。    「気付いてなかったのか?」    ほら、と指された先には携帯を弄るアーニャの姿。    「ま、まさか…?」    「残念だったな、ジノ」    「大丈夫。流したのは全裸だけ」    「あぁぁぁ?!アーニャーーっ?!」    いらないとばっちりを受けたジノの絶叫が悲しく響いていた。    

   やっぱりアーニャ、好きだなぁ(笑)もうアーニャはナナリーと共に最強キャラになればいいと思います^^    そしてこの位置が定着したジノわんこ^^最近彼のヒエラルキーは一番下になりつつあったり(爆)    次でちゃんとランデブーしてほしいなぁ…(ぇ)    プラウザバックでお戻りください。