騎士皇帝設定ですが本編どこ行ったという位スザルルがバカップル気味です^^
ルルーシュが新皇帝として即位して十数日。 皇帝としての仕事は多く、ルルーシュは激務に追われる日々を過ごしていた。 そんな日々だったため、しばらく外を見ることなど忘れていた。 しかしふと視線を向けた先にあった空がとても綺麗で。 ルルーシュは久しぶりに外に出かけることを決めたのだった。瑠璃色光るはキミの空
前もってスザクにばれると、どんな手を使っても阻止してくる恐れがあるため、 午前中は何事もないかのように至って普通に執務をこなす。 全ては午後の計画のために。 近くで書類を選別しているスザクを見ながらルルーシュはそっと口端を吊り上げた。 午餐を終え、午後の仕事を始めてわずか数分。 執務補佐として傍で仕事をしていたスザクはすぐにその異変に気づいた。 明らかに嫌な予感と共に突き刺さるルルーシュの視線。 (絶対、またロクでもないことを考えているな、これは…) 長い付き合い故か、彼の無茶な性格を思えば大体の予想はつくというもの。 痛む頭を抑えつつ、スザクは深くため息を吐いた。 手を止め、にんまりとした笑みを浮かべているであろうルルーシュに対し、 ずっと無視を決め込んでいたスザクだったが、名前を呼ばれれば これ以上無視するわけにもいかなくなる。 スザクはうず高く積み上げられた幾束もの書類にちらりと目を向け、嫌そうな顔を 隠すことのないままルルーシュのもとへと近づいた。 「どうかなさいましたか、陛下」 「今日は天気がいいからな。久しぶりに外の空気を吸いたくなったんだ。 遠乗りの準備をしてくれないか、スザク?」 予想していた通りの答えにスザクは小さくため息をつく。 寝る暇を惜しんでのルルーシュの激務内容を思えば休息は必要なのだろうが この山積みの書類を見ると、どうしても二の足を踏んでしまう。 ここで休憩をとってしまえば、責任感の強いルルーシュのことだから徹夜をしてでも 仕事を終わらせるのだろう。 それでは仕事が片付いてもルルーシュの体に負担がかかり過ぎる。 そもそも。 この主は自分がどれだけ命を狙われる立場にあるのか、きちんと理解しているのだろうか。 頑丈なセキュリティと自分という騎士が常にそばにいる執務室と違って、 外に出ればどうしても警備は甘くなり、危険性が上がってしまう。 これらのことを考えたら簡単に了承の意を取るわけにはいかないというものだ。 ……とはいうものの、素直に人の言うことを聞くような人ではないとということを 嫌というほど知っているスザクとしてはこの状況はあまり歓迎するのものではなかった。 無駄とは分かっているが、一応忠告を兼ねた非難を述べてみる。 「陛下、この目の前にある大量の書類はどうなさるおつもりですか?」 「安心しろ、めどは付けてある。残りは遠乗りから帰ってきてから必死にやれば いいだろう。多分明け方までには机が見えるさ。」 「それでは陛下の体がもちません。…むしろ遠乗りの時間を睡眠時間の方に 回してほしいのですが」 「大丈夫だ。学生とゼロ活動の両立生活の時のおかげで睡眠不足には慣れている」 「外に出れば命を狙われる可能性が増すということをちゃんと理解しているのですか?」 「そのために存在するのがナイトオブゼロだろ。」 ああ言えばこう、と減らず口で返すルルーシュにスザクは呆れた視線を返してくる。 ルルーシュとしても、自分のことを思っての言葉とは分かっている。 ただ自分としても久しぶりの外出は譲れないものがあるのだ。 いい天気だし久々に外に出たいというのも事実だが、本来運動するのが性分のスザクに少しでも 体を動かす時間を与えたいという気持ちが根底にあるのだから。 スザクは自分がいいと言う時でもよほどのことがない限り傍を離れようとしない。 それが騎士の役目なのだから、それはそれでしょうがないのかもしれないが デスクワークが多い自分にいつまでも付き合わせてはスザクの体に悪いのではないかと思うのだ。 と言ってもその思いを素直に口に出せるはずがなく、結果このような押し問答に なってしまったわけなのだが。 相変わらず一筋縄ではいかないスザクにしばし眉間にしわを寄せたルルーシュであったが いい考えが浮かんだのか、そのアメジストの瞳に悪戯気な光をちらつかせた。 何をしかけるのか警戒するスザクにその瞳を向け、不敵な笑みを浮かべて見せる。 そして綺麗な弧を描く唇をゆっくりと開いた。 「私の言うことに従えないというのかな、我が騎士枢木スザクは。」 にやりとした笑みを浮かべるルルーシュに思わずスザクからは舌打ちが漏れる。 それはスザクにとって絶対遵守に近い“命令”だったから。 こうなればスザクに残された返事は唯一つ。 「…Yes,Your Majesty」 馬の用意をしてくるから少しでも仕事を終わらせておいてください、と。 苦虫を噛み潰したような顔で告げ、スザクはマントを翻して部屋を出て行った。 勝ち誇った顔のルルーシュにどうやって仕返そうか考えながら。 ††† 馬の用意を済ませ、スザクは待ちかねているであろう主のもとへ早足で向かう。 本来なら騎士が、それも国内トップの騎士が馬の用意をする必要はないのだが、 異例の即位を遂げたルルーシュだからこそ何が起こるか分からない。 命を狙われる可能性は大いにあるため、スザクは必ず一度自分が確認するようにしている。 何か仕込まれていた時にすぐに対応できるように。 足を止めた先にある重厚な樫材の扉を見上げ、スザクはゆっくりと扉を叩いた。 入れ、という声に促されて扉を開けば何やら熱心に机に向かっているルルーシュの姿。 そんなに必死になって仕事をする位なら遠乗りに行く時間を回せばいいのに、と考えてしまう。 とはいうものの乗馬服に着替えていないところからすると、そう遠くに行くわけではないようだ。 スザクは手触りのいいマントを近くの椅子にかけ、ルルーシュに声をかけた。 「陛下、準備が整いましたが」 「あぁ、分かった。この手紙をC.C.に届けさせたらすぐ行く」 先ほどから書いていたのは手紙だったらしい。 いつもなら執務室の長椅子に寝転がってピザを食べているのだが、今日は珍しく外出中のようだ。 といっても行先はロイドの研究室なのだろうが。 来たるべき戦いに備え、暁に合う盾を作ってもらおうとしているのだ。 珍しいコンビではあるものの、意外と気は合うらしく、C.C.にしては珍しく自主的に行き来している。 マイペースなところが似ているからなのだろうか。 思いを巡らせている間にルルーシュは手紙を書き終えたらしい。 封をして印を押すと、手紙を届けさせるべく手元のベルを鳴らす。 その様を黙って見ていたスザクだったが、何を思ったのか、ルルーシュが封をした手紙を取り上げると メイドが来るまでの少しの間を利用し、裏面に何かをさらさらと書きつけた。 「スザク?」 「いえ、前もってC.C.に言っておきたいことがありまして。」 予言のようなものですよ、と軽く笑い、スザクは現れたメイドにその手紙を手渡す。 スザクの言葉に訝しげな顔をするも、気にする必要はないと判断したのか。 二言三言メイドに指示を出し、ルルーシュはスザクへと向き直った。 「すまない。待たせたな、スザク。」 「いえ。馬は中庭の方に止めてあります。今はジェレミア卿が見張っているかと。」 「そうか。それならば心配はいらないようだな」 では行こうか、とマントを脱ぐルルーシュに従い、スザクは部屋を出た。 ††† 長い回廊に二人の靴音が響く。 人払いを済ませてあるためか、辺りに人の気配は全くない。 「どこに行かれるおつもりですか?」 「エグゼリカ庭園の方にでも行こうかと思っている。」 こうやって二人で遠乗りに出かけるのは久しぶりだな、とルルーシュは笑う。 その笑顔に一瞬全てを許してしまいそうになるのは不可抗力だと思う。 たとえ帰ってきてから徹夜の仕事が残っているとしても。 「全く…強引なところは変わっていませんね、陛下」 「それはお前だろう。それと、今はプライベートタイムなんだから陛下はよせ。 お前が言うとやたらと胡散臭い。」 口元に悪戯っぽい笑みを刷きながら告げられた言葉に、スザクはむっとする。 自分に“命令”したのは相手の方だというのに。 「心外だな。僕に命令してきたのは君のほうだろ、“陛下”」 「さぁ、忘れたな“騎士殿”」 (あぁ、もう!ああ言えばこう言うんだから!) 反省の色が全く見えないその返答にスザクは深くため息をつく。 もう自分をからかっているとしか思えない。 ルルーシュがそういう態度をとるというならばこちらにも考えがある。 先ほどの仕返しをするいい機会でもあるのだから。 ルルーシュに付き従い、彼の3歩後ろを歩いていたスザクであったが、その距離を 1歩で詰めると、おもむろに手を伸ばし、ルルーシュの右手をからめ捕る。 そのまま腕を引きよせ肩を壁へと押しつけ、ルルーシュが状況を把握する前に 素早く唇をかすめ取った。 「――…っ!?」 最初はきょとんとしていたルルーシュだったが、次第に事態を把握したのか。 顔を徐々に赤くしながら、スザクをキッと睨みつけた。 「な、何をする…っ!」 「お仕置き、かな?」 さらりと返された言葉にルルーシュは顔を引きつらせる。 特にスザクが何も言ってこなかったから、あの事は無しになっているのかと 楽観視して、まるっきり無防備でいた自分を呪いたくなった。 先ほどの自分の行為という、心当たりがありすぎるためその言葉の意味するところを 正確に理解してしまう。 ――スザクが実は根に持つタイプと知っているならなおのこと。 若干冷や汗をにじませたルルーシュが逃げようともがくのに、スザクは膝を 割りいれることで退路を塞ぐ。 そのまま肩を押さえつけていた手を移動させ、その細い顎をくっと持ち上げた。 「放せ、スザク」 「いやだ、と言ったら?」 焦りをその瞳に浮かべながらも忌々しげな視線を向けるルルーシュに 自身の口端が吊り上がるのがわかる。 一気に形勢逆転、といったところか。 「放せと言っている。これは命令だ。」 どこか自信を滲ませた口調で告げられた言葉に息を詰まらせたふりをすれば 彼が勝ち誇った笑みを浮かべるのがわかる。 何度も同じ手など喰らわないというのに。 だから、その笑みに対し、これ以上ないくらいにこやかでシニカルな笑みを返してやった。 「No,Your Majesty」 甘い否定の言葉と共に。 「…なっ!?」 想定外の返事にルルーシュの顔が驚愕に固まった。 イレギュラーに弱い彼がフリーズしているのをいいことに、吐息が触れる距離まで 顔を近づける。 「それに…プライベートタイムなら今の僕たちの関係は主と騎士じゃない。 共犯者で…恋人同士だ。」 顔を真っ赤にしたルルーシュが反論しようと唇を開いた隙を狙い、スザクは再び唇を奪った。 今度は先ほどのような軽いものではなく、相手の全てを奪いつくすような 深くて濃厚な口づけを。 「ちょ、ん、ん―――っ!」 瞬間的に唇を閉じようとするルルーシュより一瞬早く、歯列を割って舌をねじ込む。 その舌を自分のそれで押し出そうとするも逆に絡めとられ、強く吸い上げられた。 「ん、ふ…ぅ」 上顎を優しく撫で擦られるたびに体に震えが走る。 漏れ出る声が次第に甘くなっていくのにスザクの瞳がゆるりと細められた。 拘束されていない方の腕でスザクを押し返そうと、無駄な抵抗を続けていたルルーシュだったが 今やその腕は力なくスザクの服に皺を作っているだけで。 歯列にも丹念に舌を這わし、ルルーシュから力が抜けきるまで散々口内を蹂躙しつくした。 何度も角度を変えて唇をあわせ、彼の力が自身の膝に移ったのを確認すると 最後に舌を甘噛みし、ようやく彼の口内から舌を引き抜いた。 二人の間をつなぐ銀糸にルルーシュがきつく眼をつぶる。 ずっと掴みっぱなしだった右手を離せばルルーシュはずるりと膝の上に崩れ落ちた。 荒い息を零し、力が入らなくなった体をスザクに預けたまま 濡れて艶を増したアメジストで恨めしげに睨んでくるルルーシュに、昼の光に 似つかわしくない淀んだ欲望が持ち上がってくるのを感じる。 でもその楽しみを使うのは今ではないと分かっているから。 自身の欲望をそっと押し込め、吸いすぎて赤く熟れた口端から零れた唾液を そっと拭ってやるにとどめておいた。 「ふふ…やらしい顔」 仕返しとばかりににやりと笑って見せればルルーシュの顔が悔しげに歪む。 噛みつかんばかりに尖った空気を醸し出し睨みつけてくるルルーシュが可愛くて、 あえて優しげに聞いてやった。 「もうそろそろ出発しないといけない時間だけど…どうしようか?」 ま、行けるような体じゃないよね、と。 駄目出しをするように支えていた膝を外せば為す術もなくルルーシュはその場に座り込んでしまう。 「スザク…貴様、覚えてろよ…」 見事に仕返しをくらったルルーシュは自身の敗北に歯噛みをする思いだった。 現状から判断するに今日の遠乗りは諦めざるを得ないだろう。 しばらくは身動きすらままならないかもしれない。 たかが口付けごときにここまで骨抜きにされてしまった自分の体に嫌気がさす。 力が入らなくなった体で無理に立とうとするもやはり体は言う事を聞いてくれない。 だからと言ってこのままここに座りこんでいてはいつ誰に見つかるか分からないというもの。 そうなると唯一頼ることができるのは、原因を作った目の前の男しかいないわけで。 ルルーシュは苦虫を百匹くらい噛み潰したような表情を隠すことなくスザクに命じた。 「…俺を部屋まで運んで行け、馬鹿スザク」 「仰せのままに」 にやにやとした笑みをみせるスザクの頭を一発殴ってから大人しく抱きかかえられてやる。 所詮ルルーシュもスザクには甘いのだ。 姫抱きにされて帰ってきたルルーシュを見て、スザクの予想通りと爆笑するC.C.が見られるのは また別の話…。
生まれて初めてのエロを書こうとして挫折した代物。萌合宿の時の「エロを書こう」課題の なれの果てだったりします…。エロどころかキスで挫折って…じぶーん…orz あ、スザクが手紙の裏に書いたのは「すぐ戻る。多分お姫様抱っこのルルーシュをつれて。」 みたいなことだと思います(笑) プラウザバックでお戻りください。